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「楽譜」という名の手紙
楽譜というのは音楽家にとって手紙と同等のようなもので、「音符」という言語によって綴られた「フレーズ」という文章に、
作曲家が込めたメッセージが沢山詰まっています。

作曲家はどうメッセージを込めるか、腐心します。
ある作曲家は正確にメッセージを伝えるために、事細かに記号を並べる。
ある作曲家は演奏家に想像を委ね、敢えて曖昧な記述をする。

そう考えてみると、楽譜を色々な視点から読み解くのも面白いものです。
「この譜面を、作曲者はどんな気持ちで書いたのだろう?」と考えると、不思議なことに譜面はただの記号の羅列ではなくなります。
一つ一つの音符、アーティキュレーション、強弱記号、注記…
そういったものから作曲者の込めた想いが徐々に浮かび上がって来る。
それを自分はどう受け止めるのか。作曲者からの手紙を、どう読み上げるのか。

楽譜を読むとは、つまりはそういうことなんだと思います。
どう読み取って、どう聴かせるのか。言葉を読み違えたりすると作曲家の意図する所ははっきり伝わらなくなってしまうし、
読み上げ方が簡潔すぎてはつまらないし、くどくど読めば聞いている方は疲れてしまう。

俳優と同じで、「どう演じるか」が人に聴かせるポイントになります。
「演じて奏でる」=「演奏する」。

俳優やアナウンサーの喋りが聞き取り易いのは、しっかり発音の基礎練習を重ねているからです。
音楽も然り。
基礎がしっかりしていれば、より正確にメッセージを伝えることが出来るわけです。

そして正確さだけでなく、そこに自分なりの「表現」を加えることが出来る。ここが音楽の面白さだと思うんです。
今までの自分の経験を生かして、様々な表現を追及する。ここで自分の「個性」が生きてくる。

僕の場合、自分がメッセージを書く側になる=作曲をする、ということもあるので、それがまた面白いです。
どう書けば演奏家に伝わるのか考えたり、或いは自分で自分のメッセージを上手く伝えるにはどうするか考えたり。

こうして色々な視点から見てみると、音楽とは本当に面白いものだと感じます。
特に作曲を始めてからは、少しは視野が広がったのかもしれません。

作曲家からの「手紙」、あなたならどう伝え、どう受け取りますか?

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